ぼうか(木造の防火技術開発と建築設計)

1950年に制定された建築基準法は、これまで幾度となく改正が行われてきましたが、防火の法令に限ると、2000年の性能規定化に向けた改正建築基準法施行は、制定以来もっとも大きな変化といえます。この2000年に木造住宅に関して何が変わったかを取り上げてみると、一つには、木造でも耐火建築物(建築基準法上、最高レベルの耐火性能を有する建物)ができるようになったことがあげられ、技術開発の進捗次第ですが、鉄筋コンクリート造や鉄骨造と同じように、木造による中高層建築物がつくれるようになりました(現在の技術では14階建を木造耐火建築物で設計できます)。二つめには、建物の外壁や軒裏に求められる防火構造や準耐火構造に対して、求められる防火性能が、非損傷性(壊れないこと)、遮熱性(裏面に熱を伝えないこと)、遮炎性(火炎が貫通しないこと)の3つで示されたこととその防火試験の方法が明確にされたことがあげられます。すなわち、木造の様々な仕様について、防火試験で工学的な根拠をしっかりと示していけば法律は柔軟に受け入れてくれるようになったわけです。

この2つの大きな変化は、木造防火を研究する人々、木造の設計・施工をする人々にとって、重要な意味をもっています。

これまで、市街地に木造建築を設計する場合には、防火の規制のために不燃材料で柱やはりを覆ったり、外壁表面にサイディング張りやモルタル塗りといった画一的な材料の選択をする必要がありました。決して否定するつもりはないですが、当然、できあがった建物や、それが連なった町並みは、無機質で画一的な印象を与えるものになりがちでした。しかし、2000年以降は、たとえ木材や土壁などでも求められる防火性能をクリアできれば法令に位置づけることが可能で、それにより設計の幅が拡がり、建物ごとに差別化をしやすくなったと考えられます。

当所では、木造建築の設計をやりながら、「このような建物、仕様が街中(防火規制が厳しい地域)で建てられると楽しいな」と思ったことを、大学や企業などと共同で、防火実験、実用化しながら法令に位置づけるということをやっています。

日本の土地は高いですが、高い土地=街中であり、防火規制が厳しくなります。高い土地代を支払って、木材の見えない木造に住むのは、何となく寂しくなってきます。今では、防火性能・耐震性能も十分にある気持ちいい木造をつくることはそう難しいことではなくなっており、街中でも3階建てまでであれば、柱やはりを露出したり、壁を木材仕上げ等とした住宅をつくることが可能です。

郊外、街中にかかわらず、気持ちのよい木造をご一緒につくっていきたいと思っています。