谷中の町家

昔ながらの風情が残る東京谷中に、木造らしい外観をもった地震と火事に強い木造3階建て住宅を提案することを目標としました。このプロジェクトには、若手の設計者・施工者・研究者・木材供給者が参加しており、木造密集地での住宅の建て替えのよいお手本になるよう取り組みました。

<仕様>
建築地:台東区谷中(準防火地域)
建物規模:木造3階建て
防耐火区分:準耐火建築物

<主な準耐火構造仕様>
外壁:モルタル20厚の上に漆喰塗り
   せっこうボード15厚
軒裏:野地板36厚、面戸板90厚
柱・はり:燃えしろ設計
開口部:住宅用アルミ防火戸

<設計>
建築設計:安井昇(桜設計集団)
構造設計:中村美穂(kplus)
設計協力:山崎たいく(やまざき建築研究所)
換気設計:中島廣文(株式会社システムクリエイト)

<防災技術監修>
耐 震:腰原幹雄(東京大学)博士(工学)
防耐火:安井昇(桜設計集団)博士(工学)

<木材供給>
構造材・内装材:阪口製材所
Jパネル:協同組合レングス
広葉樹:株式会社オグラ
内装材:三幸木材株式会社

<リーフレット・掲示物デザイン>
村上幸枝

<施工>
施 工:株式会社吉川の鯰
大 工:岸本耕 舩橋耕太郎 松宮佑里 小澤敏宏
    亀田守郎 及川剛 荒牧剛 伊藤史弥
    飯塚昭 熊沢勝利 熊沢慎太郎
    向田八司 黒澤幸蔵

地盤改良工事:有限会社エスピー地盤
基礎・足場工事:有限会社谷中工務店
プレカット:丸紅ランバー株式会社
瓦工事:All Roof Works HOSOYA
板金工事:吉田板金
左官工事:有限会社原田左官工業所
クロス工事:稲垣内装
建具工事:建具工房 根津の樹
サッシ・ガラス工事:株式会社守甲
防水工事:総和防水有限会社
金属工事:株式会社荒井製作所
給排水・換気工事:有限会社大田工務所
電気工事:有限会社日昭電気設備
ガス工事:東京ガスライフバル台東
植木工事:荻野植木
家具工事:増川衛

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敷地

谷中は江戸時代に上野に寛永寺が建てられると子院が続々と建てられ、たくさんの人々が集まって町をつくりあげてきました。現在では根津・千駄木と並んで東京の下町といわれる風情ある町並みが残っています。全国から、また、海外からも多くの観光客が街歩きを楽しみにやってこられます。しかし、その風情ある町並みも、古い木造建築が密集して建てられた地域のため、防災上は必ずしも安心・安全とは言えません。そこで、今回は町の風情に配慮しながら、地震と火災に強い建物を建てることを目標にしました。

建物

安心・安全な建物をつくるためには、防火性・耐震性は重要です。まず、防火性は、「準耐火建築物」という防耐火性能の高い建物としています。通常はせっこうボード等で柱やはりを覆ってしまいますが、最近の研究及び実用化成果をもとに、柱・はり・軒裏・屋根の天井面は、木材を厚く・太く使って見えるようにしています。また、耐震性は、震度6強〜7の大地震の1.25倍の力に対して倒壊しないように設計されています。さらに、この大地震後でも、防火性能を十分に発揮する外壁材を使っており地震火災対策もしています。

素材

日本の国土の約7割が森林です。その森林で十分に育ち、伐採時期に達したスギ材を柱やはりに、 ヒノキ材を土台に使っています。そのスギやヒノキ材は、十分な時間をかけてエネルギーをかけずに自然乾燥して、強度と含水率をしっかり管理しながら使っています。数年後に、曲がりや狂いがでないための配慮です。また、既存建物の木材や障子・引き戸などの建具を積極的に再利用しています。木材が育ってきた年数以上に使い続けてあげることが、森林の循環上も重要と考えています。

設計+つくり手

設計する人、つくる人、材料を供給する人、安全性の研究をする人、様々な人が協力しあって建物をつくっています。設計する人は建て主さんのご希望をくみとり、図面にしていきます。つくる人は設計する人の設計図をもとに形にしていきます。材料を供給する人は、自分たちの持つ自慢の材料をつくる人に供給します。安全性の研究をする人は、耐震性・防火性等が高く、さらに見た目もきれいな技術を実用化します。これらすべての人々の知恵と技術が集まったのがこの建物です。

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