ぼうか(技術開発事例)

垂木や野地板が露出した軒裏

京都の古い町並みを見ると、屋根を支える垂木や野地板が露出しているものがあります。とても調和のとれた町並みをつくっているのが、外壁と屋根の垂木の寸法・間隔や軒の出寸法と考えられます。木材が露出しているわけですから簡単に燃えてしまうと考えられますが、建築基準法では、隣棟の火災時に表面に火が着いたとしても、建物内部へ容易に燃え抜けないようにしておけばよいとなっています。木材は燃えると炭になりますが、この炭が断熱材の役割をして、木材内部へ熱が侵入するのを軽減します。そのため、木材の断面が大きい場合や、厚い板を使った場合はなかなか燃え進みません。その燃え進む速度は、大断面の柱やはりでは0.6~0.8㎜/分、板材では0.8~1.0㎜/分程度です。すなわち、軒裏のうち、建物内部への延焼経路になる面戸板(垂木と垂木の間に入れる板)、野地板の厚さを十分大きくすると、容易には燃え抜けません。面戸板45㎜厚、野地板30㎜厚とすれば、45分以上燃え抜けないことがわかっています。この研究成果はすでに、H16国土交通省告示第789~790号に位置づけられ誰でも使える仕様になっています。

告示の仕様表(PDFファイル)
軒裏論文(PDFファイル)

土塗り壁

昔から日本では土地にある土を壁に塗ってきました。特に江戸や京都のように皆で集まって住む時には、防火のために壁や屋根(瓦)を燃えない土でつくってきたのです。土塗り壁は、露出した柱・はりと竹などの下地を編んだ上に土を塗った土壁部分からできています。火災時には柱・はりがすぐに燃えはじめますが、30分程度であれば比較的容易に防火性能を確保することができます。街中でも2階建てであれば十分につくることができます。この研究成果はすでに、H16国土交通省告示第787~788号に位置づけられ誰でも使える仕様になっています。

告示の仕様表(PDFファイル)
土壁論文(PDFファイル)

板(木材)壁

正倉院の高床式倉庫や伊勢神宮では、木材だけで壁がつくられています。木材の厚さが十分にあると、なかなか燃え抜けないということは、「軒裏」のところで説明しました。仮に1㎜/分で燃え進むとしても30分では30㎜程度です。木材がなかなか燃え進まないこの性質を上手く利用すると木材だけでも防火性能を持たせることができます。ここでいう防火性能とは、隣家の火災時に壁が燃え抜けて室内へ延焼することを防止する性能です。柱間に30㎜厚のスギ板を落とし込み、その上に24㎜厚のスギ板を張った総厚54㎜の外壁で、街中に2階建て住宅をつくるために外壁に必要な防火性能を確保できます。この研究成果はすでに、NPO木の建築フォラムらが国土交通大臣を取得しているので、フォラム主催の講習会を受ければ誰でも使える仕様になっています。

木のフォラム木の建築原稿(PDFファイル)